瀬戸内海に面した高松市は、港町としての穏やかな景色と、物流の拠点としての顔をあわせ持つ街です。私は高松市で、生産設計という仕事に携わっています。一見すると専門的で堅そうに聞こえるこの仕事も、実は日々の生活や街の営みと深く結びついています。季節ごとの景色や、人々の暮らしの変化を感じながら働く日々は、数字や図面だけでは語れない温かさがあります。今回は、高松市で過ごす日常と、生産設計の現場から見える世界を、私の視点で綴ってみます。
高松の港町で働くということ
高松市の朝は、海風と港の匂いで始まります。海の向こうにフェリーがゆっくりと動く景色を眺めながら、私は図面を広げます。生産設計は、現場での作業が円滑に進むよう、細かな寸法や工程を調整する役割です。机の上では数字や線を追っているのに、心の中ではいつも港の静かな水面を思い出してしまうのです。時には現場へ足を運び、海沿いの道を抜けて建設中の建物を眺めます。潮風に吹かれながら感じるのは、自分の仕事が街の風景に少しずつ加わっていく喜びです。
生活設計と街の営み
生産設計は単なる技術職ではなく、人々の生活設計にもつながっています。建物や施設は、そこを利用する人の暮らしを支える存在です。高松市はうどんや観光だけでなく、物流や製造の拠点としての顔も持ち、資材や人が絶えず行き交います。その流れの中で、設計図は街の機能を支える“見えない地図”となっていくのです。現場の空気は活気に満ち、そこに関わる人たちの会話や笑顔が、紙の上の線に命を吹き込んでいきます。
夕焼けと線の話
仕事を終えて事務所を出ると、瀬戸内海の夕焼けが目に飛び込んできます。昼間は設計の直線や曲線と向き合っていた私ですが、海に沈む太陽の水平線は、それとは違うやわらかい線を描きます。どちらも人の心を動かす線。そんなことを考えながら、明日もまた新しい図面と向き合うのです。夕日の色が残る空の下、帰り道のコンビニで温かいうどんを買うと、また一日が心地よく締めくくられます。